「いじめ問題」は保護者の皆さんが一番気がかりな問題だと思います。いじめは,どの学校でも,どのクラスでも,どの子でも起こりえる問題と考え,常に危機感を持ちながら子どもたちの指導に当たってきました。いじめ防止対策推進法が施行され,本校でも「いじめ防止基本方針」を定めて,改めていじめの防止に向け全職員一丸となって取り組むことを確認し合いました。
本校では,いじめ等の実態を知るために年に数回のアンケートによる調査を行っています。毎年度第1回目の調査を,5月に行います。これまでも気になる内容については継続して見守り,指導してきました。しかし,私たちはこうした調査だけでいじめが発見できるとは思っていません。一方的な暴力的な行為はだれの目にもいじめとわかりますが,一見仲が良く見える人間関係の中にいじめが潜んでいる場合もあります。また,思春期になれば自分の弱さを知られたくない(認めたくない),親に心配をかけたくないとの意識も働きます。鋭い感覚を持ちながら,子どもの気持ちに思いをはせ,児童が発するサインを見逃さないようにしたいと思います。
文部科学省では,いじめを、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」と定義しています。いじめは,優劣の力関係がある中で繰り返し行われる行為で,大きな無力感を感じさせます。喧嘩や悪ふざけとは異なるものですが,見わけがつかないこともあります。表面の行動に惑わされることなく,子どもの気持ちに思いをはせることが大切と考えています。
■ 「いじめ」が見つかった場合,本校では次のように対応します。
・ いじめられた児童は徹底して守ります。
・ その上で,関係者より事実の確認をします。配慮をしながら,周りの児童からも確認します。
・ 「弱いものをいじめることは人間として絶対に許されない」との意識を徹底させます。はやし立てたり,傍観したりする行為もいじめ同様許されない。大人に伝えることは正しい行為であるとの考えを持たせます。
・ いじめた児童とも徹底的に話し合います。いじめの背景を考え,再発しない指導を心掛けます。また,保護者とも話し合い協力体制を作ります。
・ 一過性の指導で終わらせることなく,継続して見守っていきます。
■ 家庭で「いじめ?」と感じた場合には,次のように対応すると良いと思います。
・ 「いじめ?」と感じた時には,いじめられているか素直に聞いてください。あまり話したがらないときは「お母さんやお父さんはどんな時でも守ってあげるよ」と,しっかり告げておくとよいと思います。
・ いろいろな出来事を話し出すときは,さえぎらず耳を傾けてください。「あなたも悪い」,「強くなりなさい」と叱咤激励することは親への信頼をなくし,子どもの自己否定感を高める結果になります。
・ 事実とは異なる話をする場合もあります。自分に都合のよい話です。その場合でも話を最後まで聞いてください。嘘の理由が何かあるはずです。
・ 一通り話を聞いたら,どうしてもらいたいかをたずねてください。この時点で子どもは,自分を支え,見守ってくれる人がいることに気づき,問題を乗り越える勇気が湧いてくるはずです。
気になることがあれば,是非学校までご相談ください。全力を挙げて問題の解決に当たります。
いじめ問題の撲滅を図るには,児童の心を耕すことも大切です。学校では,道徳や特別活動,声かけの取り組みを充実させていきます。また,近年は情報端末(スマホ,ゲーム機器)を通しての問題が多く発生し,小学校でも無視できない状況です。学校では,情報機器の使い方やマナーについて学習する機会を設けますが,基本は家庭です。家庭内でルールを設けて守らせることについては,よろしくお願いいたします。
令和5年4月 学校長
※ 本ホームページ内にアップされている本校の「いじめ防止基本方針」もご参照ください。